※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事
現状と不安――「情報通信」って、誰がどうやって守ってきたの?
IT化・デジタル化の波が押し寄せ、多くの人が毎日スマートフォンやテレビ、ネットとにらめっこする現代。
ふと立ち止まると、こんな疑問が浮かびませんか?「この便利な通信環境って、そもそも誰かが守ってきてくれたんだろうか?」「ネットやテレビの制度って、どうやって形づくられてきたんだろう?」
日々の生活や仕事で通信トラブル・地域格差の話題に触れるたび、どんな人が国や業界で“みんなの当たり前”を支えてきたのか知ってみたくなりますね。
その“縁の下の力持ち”の代表例の一人が、今回ご紹介する久保田誠之(くぼた しげゆき)さん。
今回は、彼のキャリアや取り組みを、私の素朴な疑問・感想も交えながら、誰にでもわかる形でご紹介します。
理系エリートから通信行政の現場へ――東京工業大からのスタート
久保田誠之さんは1954年、東京都生まれ。
東京工業大学工学部電子工学科卒業後、同大学院修士課程を修了――まさに“バリバリの理系”です。
そのあと1979年に郵政省(のちの総務省)に入省。
私の印象では、この「電子工学の専門知識」と「役所での現場経験」という両方を持ち合わせていることが、のちの幅広い活躍に大きく生きたのだと思います。
学生時代に学んだ知識が、社会にどう役立つのか不安に思う人も多いはず。
でも久保田さんは、まさに「理系技術を社会の現場へ」つなぐ橋渡し役として道を切り拓いてきたのです。
通信と放送。国の“しくみ”づくりに一貫してかかわった歩み
郵政省入り後、久保田さんが最初に担った仕事は「通信技術の国際標準化」。
1987年には通信政策局での標準化推進室長に就き、日本の技術を国際ルールへと広げていく業務の責任者を任されています。
私自身、“標準化”と聞くと地味な印象がありますが、「日本だけの特殊なやり方」ではなく、世界と同じ“ルール”でやり取りできるように骨組みを整える、とても大事な役目です。
その後は、関東電気通信監理局の電気通信部長や電波部技術管理室長を歴任し、実際の通信インフラや制度の管理・運用を支えます。
この時代、日本で高速通信や携帯電話の普及といった転換期にあたり、「技術と現場」「国と地域」を行き来しながら地域の通信施策にも関わってきたのが印象的です。
また1996年には“人事調査官”としてアメリカ・ワシントンの連邦通信委員会(FCC)に派遣。
海外の通信制度や考え方を身近で見てきた経験は、帰国してからの政策や制度設計にも生かされ、国際的な目線をもった行政人として評価されています。
「地デジ導入」の推進役としての実績
多くの人の身近な生活への影響で一番大きいのは、2008年以降の「地上デジタルテレビ放送」(いわゆる“地デジ”)の全国的な導入でしょう。
久保田さんは総務省大臣官房審議官(情報流通行政局担当)として、このプロジェクトの中心に立っていました。
地デジの準備や周知は、都市部と地方とで事情が違うなど、全国一律に進めるのは一苦労だったそうです。
現場の説明会や問題解決にあたりながら、「現場で困っている人たちの声を制度に反映する」――まさに利用者目線を忘れない姿勢が印象的です。
この時期の経験については学術雑誌『放送界』等にも寄稿があり、現場でのエピソードや苦労話からは、“組織の要となる人材”としての堅実さを感じます。
この一連の取り組みが評価され、2025年春には「瑞宝中綬章」を叙勲として受章。
長年の行政現場での根気強い仕事が、公的にも認められています。
地域に寄り添う行政リーダー――「地方通信局長」としての顔
「日本全国、通信の格差をなくしたい」
この想いを実現するため、四国・九州・近畿と3つの地方総合通信局の局長を務めます。
“地域密着”と“制度運営”を両立するため、地元の企業・自治体・住民との対話も大切にしたそうです。
例えば奈良経済同友会の例会での講演では、最新技術と地域の観光や医療、防災をつなぐ事例、現場の課題解決のヒントとなる話を分かりやすく紹介。
新しい政策や技術の導入だけでなく、その「使われ方」や「地域の事情」も細やかに考える姿勢が伝わってきます。
専門家であると同時に、地域と対話しながら前に進めていく柔らかさ。
私は「エリート官僚」像よりも、「幅広い現場に精通した実直な行政者」としてのイメージが強くなりました。
学びと産業を結ぶ「教授」としての第二の顔
官僚退官後も、「教育」という形で後進の育成に力を注いでいます。
2013年から早稲田大学理工学術院教授、2014年には東京工業大学大学院客員教授も兼任。
技術政策や情報通信分野の授業、産業界との連携プロジェクトなどを担当してきました。
理論だけでなく、実際に制度や現場でどんな課題があったか――自分の体験を交えた講義は、学生にも分かりやすく、現場感に富んでいると聞きます。
「理系の学びがどう社会につながるか」を具体的に伝えてこられた点、特に私が共感するところです。
民間企業の「つなぎ役」として新たな活躍
早期退官後は、メディア大手「テレビ朝日ホールディングス」「テレビ朝日」で顧問も務めています。
放送と通信が一体化していく激動の時代、「現場」と「経営」「技術」の橋渡し役を担当。
多様化するメディア時代に、民間の経営層からも実務経験と知恵が信頼されてきました。
また、道路交通情報通信システムセンター常務理事・東広島市検証委員会座長など、地域交通やインフラの分野にも情報通信の観点から関わり、社会全体の利便性や安全性アップに取り組んだ実績もあります。
今もなお、業界内外の橋渡し役――電波技術協会の理事長として
2021年からは、電波や通信技術の進展・教育普及を担う公益団体「電波技術協会」の理事長に就任。
この協会は、技術者の育成や表彰、研究支援を行う業界団体です。
中でも「電波技術協会賞」の贈呈式では、主催者代表として電波技術分野の今後を見据えたメッセージを発信、関係者や受賞者とともに業界の未来を考える重要な場をつくっています。
私の印象では、「研究・技術者コミュニティ」と「行政」「現場」との橋渡しを一貫して続けてきた姿勢が伝わってきます。
名誉職としての色合いも強まるポジションですが、“業界の現場担当”を自任して、地道な支援活動にも力を入れ続けるのが久保田さんらしいです。
まとめ:現場としくみをつなぐ、温かなリーダーシップに触れて
ここまでご紹介したように、久保田誠之さんは
- 通信・放送インフラの現場から制度の骨組みづくりまで、多様な立場で支えてきた人
- 技術的な知識と、現場の声・地域の状況をじっくり受け止めるバランス感覚
- 教育者・産業界の助言者として、次の世代や新たな業界へも貢献を続けている
個人的には、「エリート官僚」や「有名経営者」だけでなく、地域や現場に根ざし、粘り強く社会の“基盤”を築いてきたこうした人物の存在は、あらためて大きいと感じます。
まるで道路や水道のように、通信ネットワークも“当たり前”であることほど、裏側の地道な努力は目立ちにくいものですが、日々私たちが便利で安心して暮らせていることの背景に、久保田さんのような方の尽力があると知ると、少しほっとする気持ちになります。
ネットやテレビの未来だけでなく、地方や現場、企業や家庭にも寄り添い続けてきた姿勢もまた、現代のリーダー像としてじっくり見てみたいポイントです。
さいごに――「これからも“通信の土台”を支え続けてほしい」
技術や社会がどんどん変化する中で、久保田誠之さんのような「現場主義」と「つなぎ役」の存在が、これからの日本にとっても一層重要になると私は感じました。
業界や地域、世代を超えて縁の下で支え続けてきたその一歩一歩が、私たちの日々の暮らしをちょっとずつ豊かにしてくれています。
今後も新たな形で、久保田さんが情報通信の未来を見据えてサポートを続けていかれることを、いち市民として楽しみにしています。
※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

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