※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事
「インフラ老朽化」「自然災害」「人材確保」。いま、私たちの社会生活を支える基盤は、多くの課題を抱えています。しかし、誰がそれらの問題を地道に支え、現場の安全・安心を守っているのかご存知でしょうか?
経営者のカリスマ性と現場重視の姿勢を兼ね備え、技術と人材育成の両輪で社会インフラの維持に尽力するリーダーがいます。今回ご紹介するのは、株式会社土木管理総合試験所の代表取締役社長・下平雄二さん。
40年近くにわたり、地元長野から全国へ、そして世界にも展開する彼の実像に迫ります。マンネリ、遠い世界に感じがちな社会インフラですが、下平さんの歩みを知ることで、「目の前の道路や橋の安全を、こうして誰かが支えているんだ」と身近に感じていただけるはずです。
創業から東証上場へ:一歩ずつ社会の安全を築き上げた歩み
長野県の山深い地域で生まれ育った下平雄二さん。1985年、自ら株式会社土木管理総合試験所(C.E.Management Integrated Laboratory Co. Ltd.:通称DK)を設立。一人の技術者として出発した彼は、「社会の安心・安全を守る調査技術」の必要性を肌で感じながら、着実に道を拓きました。
設立当初は地元に根差し、小規模な試験や調査、環境分析業務をこつこつと積み重ねて成長。現場の「困った」に真剣に寄り添い、「どんな仕事も断らず、まずは引き受けよう」という気概で信頼を集めていきました。事業が徐々に広がるなか、バブル崩壊や度重なる震災といった日本社会の大きな変化にも柔軟に対応。特に阪神淡路大震災や東日本大震災の時には、「インフラの安全への役割」がますます重視され、DKの仕事の意義が高まったといいます。
その後も地道な努力は実を結び、2015年には東証二部(現在のスタンダード市場)への上場を果たしました。上場と同時に、内部統制の強化・ガバナンス体制の整備を着実に進め、取締役・監査役には多彩な分野の専門家も加わりました。透明な経営姿勢のもと、長野から全国、そしてベトナムにも子会社を持つ企業へと成長しています。
多様な技術力が支えるサービス網~現場の声に徹底して寄り添う企業文化
下平さんが率いる土木管理総合試験所。その事業領域は驚くほど幅広いのが特徴です。
- 土質や骨材、コンクリート、岩石などの材料試験
- 地質・地盤の調査・解析
- 環境調査・環境分析
- 非破壊検査(壊さずに構造物等の健全性診断を行う)
- 測量・設計・地盤補強の工事・修正
- 試験機器の開発・レンタル、資材のネット販売
なかでも自社開発の「自動平板載荷試験装置」や、「鉄筋コンクリート内部の状態推定技術」などの特許を積極的に取得。実際の調査や工事の現場で、より安全に、より効率よく仕事ができるよう工夫し続けています。
たとえば、床版(橋の路面)の劣化診断の際は最新のAIやICT(情報通信技術)、ドローンまでも駆使。土質やコンクリートの“見えない部分”まで科学的に把握し、安全・長寿命化に役立つデータを構築しています。
私は、こうした高度な技術を持ちながらも、常に“現場に寄り添う姿勢”を崩さない点がとても印象的だと感じます。
社員・社会・家族―幅広い「つながり」を大切に
社会インフラの整備は、現場で働く社員一人ひとりの力がなければ成り立たない仕事です。下平さんは、社員の多様な働き方ややりがいの創出にも強い意識を持っています。
従業員約425名のうち、平均年齢は38.9歳と若く、新卒採用やインターンシップ、職場体験に力を入れて地域の若者を積極的に登用。社内の男女比も配慮し、管理職にも女性の登用を拡大。育児・産後休業明けでも安心して復帰できる体制や、男性社員の育児休暇取得の推進、安全衛生にも細やかな配慮を続けています。
さらに、働きやすさに加えて「専門性」を磨ける環境も整っています。試験・調査の種類は約1,000パターン、3,000社を超える取引先に対応。文系・理系の区別なく社員が活躍し、平均有給取得率も高めです。地元密着型でありながらも、「全国に頼られる技術者集団」として若い世代へ自然にバトンが渡る仕組みがつくられているのです。
また、ご自身のご家族も企業経営に参画し、ご息女の下平絵里加さんが常務取締役を務めている点も、柔軟で一体感のある経営体制の象徴だと感じます。
M&Aやフランチャイズで全国へ―成長のカギは「信頼と分かち合い」
土木管理総合試験所の成長を語るうえで欠かせないのが、下平さんの手腕によるM&A(企業の合併・買収)やフランチャイズ展開。企業文化や技術・ノウハウの共有、買収先企業社員への真摯な対話を地道に続け、それぞれが納得し一緒に成長できる環境を整えてきました。実際、過去10年で5件の企業買収を実現。売上、利益の大幅拡大につながっています。
とはいえ、「ただの規模拡大」ではなく、買収先社員やパートナー企業とのコミュニケーションを大切にし、モチベーション向上や技術継承、柔軟な制度統一など細やかな配慮を重ねる姿勢が高い評価を得ています。
また、フランチャイズ(FC)契約の活用で、全国各地のパートナー企業とも共存共栄を図っています。北海道から沖縄、さらにはベトナム・ハノイにまでネットワークを広げ、現地ごとのニーズに丁寧に応える「地産地消型」サービスモデルへと発展しています。
地域と全国をつなぐ—「地元発」のものづくり精神と社会課題解決へのこだわり
私は、下平さんを語るうえで外せない魅力は、根底に流れる「地域を思う気持ち」ではないかと考えます。
下平さんご夫妻はもともと愛知県から長野県に移住されており、「地方から社会を底上げしたい」という一途な思いが行動に表れています。地元企業として地方自治体や地元業者と連携し、地域のインフラ特有の問題や地方ならではの課題にも柔軟に対応する姿勢。
「地元の雇用や、地域活性化にもつながればうれしい」といった発言や、若者の教育・インターンシップ受け入れへの積極性にも、社会への責任感が感じられます。
自然災害への備えや、インフラの「長寿命化」「事故防止」も大切なミッションとして掲げ、環境モニタリングやIoT、AIといった最新技術も導入。こうした“テクノロジーと人間力”の融合で、地域社会に根ざした企業成長を続けています。
サステナビリティ(持続可能性)重視の経営姿勢も特徴で、八十二長野銀行のサステナブルファイナンス支援企業にも選ばれ、環境負荷の低減や地域との連携に積極的です。小さな声にも耳を傾け、善き循環を社員・地域・パートナー企業とともに広げるその姿勢に、私は深い共感を覚えます。
新技術とグローバル人材―未来への責任を自覚し続ける
建設業界全体で課題となっている人手不足にも先んじて取り組んでいます。外国人技術者(ベトナムや東南アジアから)の積極的な採用・育成、多文化共生を目指した社員研修や職場環境の整備も行われています。多様な視点や経験を生かして、グローバルなものづくり企業として新たな価値創出に挑戦し続けています。
また、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への技術登録を積極的に進め、ドローンやAIを活用した効率的な調査・解析業務も着実に実用化。これら最先端分野の追求も、既存社員のスキルアップや社会へのより大きな貢献につながっていると感じます。
私は、下平さんが自ら現場へ赴き現場社員・技術者と直接向き合う姿勢や、一つひとつの課題解決・新たな挑戦に地道に取り組み続ける様子に、人間的な温かみと力強さの両面を感じます。現場主義と新しいことへの好奇心、そのバランスを持つ稀有な経営者像がそこにあります。
地域に根差し、社会インフラを支える「信頼される経営者」として
「守りたいのは、人々の安全で豊かな毎日」。株式会社土木管理総合試験所の企業理念そのものを、下平雄二さんの歩みが体現しています。
40年近くの月日をかけて、長野から全国、アジアへと事業を展開し続ける裏には、「できることを、一つひとつ丁寧に積み重ねる」という実直な哲学があります。
社会インフラの構築や保守という、一見地味に思える仕事にも、確かな“支え手”がいてこそ、私たちの安全が守られている。その事実に気づかせてくれる存在こそ、下平雄二さんです。
ご本人が大学講義で語られた「夢をもって、最後まであきらめずに目標を目指すことの大切さ」「周囲とともにタイミングを逃さず挑み続けること」が、経営哲学の中核にあるのはとても素敵なことだと感じます。
私は、地方企業にも社会的な貢献の道がいくらでも広がっていること、そして“人”の信頼と技術力の積み重ねこそが、社会インフラという「目に見えない安全」を守る最大の武器になるということを、下平さんの歩みから強く学びました。
実感した魅力と、今後への期待
ご紹介してきた通り、下平雄二さんは「温もりある眼差しで、現場の声を聞き、次の世代に希望をつなぐ」経営者です。
私は、地元長野の小さな地域経済からスタートし、全国の建設業界、さらにはグローバルにも人材と技術の交流を広げていく企業は、決して多くはないと感じます。その意味でも、地道な積み重ねを惜しまない下平さんご本人と、陰で支える社員やご家族の存在が、企業の持続可能性に大きく貢献していることに注目したいです。
今後、加速度的に進むインフラの老朽化や、人口減少・労働力不足といった新たな課題にも、彼のもとで「技術」と「人」がともに進化していく姿が楽しみです。
誰もが安心して暮らせる社会を、足元から誠実につくり続ける下平雄二さんとDKの活動に、これからも注目していきたいと思います。
※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

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