※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事
公共インフラの安全や持続可能性は、私たちの日常にどれだけ関係しているのでしょうか。台風や地震といった自然災害のニュースを見るたび、道路や川、橋が「当たり前のように」使えることの大切さを痛感します。しかし、実際にその裏でどんな人がどんな思いで日本の土地と社会を支えているか、ご存知でしょうか?
この記事では、そんな日本の社会インフラを陰ながら支えてきた「伊藤正秀」さんにスポットを当てます。「最近よく聞く土木のDX化って、誰がどう進めているの?」「インフラの老朽化対策って誰が考えてるの?」「実際に現場の声を政策や研究に活かすリーダーっているの?」──そんな疑問を持っている方や、これからの社会基盤に興味がある方に、伊藤さんの歩みや特徴、分かりやすい事例を交え、ご紹介します。
私自身、普段意識することの少ないインフラについて「こんな人が支えているんだ」と感じることが多く、読者の皆さんにもぜひそんな感覚を味わっていただきたいと思いました。
多くの現場と向き合い歩んだキャリア――「土木」と「日本」をつなぐ仕事とは何か
伊藤正秀さんは、1961年1月12日、東京都で生まれました。北海道大学工学部の土木工学科で学んだ後、1984年に建設省(現在の国土交通省)に入省。本格的に公共インフラの整備に関わり始めます。
そもそも土木技術者と一口に言っても、オフィスで政策を考える人ばかりではありません。伊藤さんも道や川といった現場で経験を積み、北陸地方の金沢、茨城県などさまざまな土地で実務を重ねています。
現場勤務というリアリティあふれる経験は、道路や河川の工事計画、あるいは災害防止策の立案など、具体的な課題に向き合いながらのものでした。自分の住んでいる町だけでなく、日本中の人たちが「安心して使える道」「暮らしを守る堤防」を手がけてきた点は、まさしく現場を知る技術者ならでは。土木工事の現場は、雨の日も夏の暑さも厳しく、住民の声や突発的なトラブルとも絶えず向き合う世界です。こうした場で経験を積んできたことが、後の伊藤さんの幅広い活躍に繋がっているのだと私は感じます。
専門研究と現場経験を両立―「透水性舗装」に情熱を注いだ理由
伊藤正秀さんのキャリアで特徴的なのは、現場経験だけでなく「研究者」としても積極的に活動されていた点です。2009年、長岡技術科学大学大学院を修了し、「博士(工学)」の学位を取得。そのときの博士論文のテーマは「車道透水性舗装の実用化に関する研究」でした。
「透水性舗装」とは、アスファルトなどの道路の表面を水が通り抜けやすくした舗装のこと。雨の日も水たまりができにくく、安全で環境にも優しい設計です。自動車や自転車を使う方なら道路の水はねが少なくなった、歩行者の安全性が向上した、といった違いを感じたこともあるかもしれません。こんな技術をより広く実用化しようと取り組まれてきたのが伊藤さんです。
私は普段、何気なく自転車で濡れた道路を走っていますが、こういった目に見えにくい工夫が多くの人の快適さや安全に繋がっているのだと知り、感謝の気持ちが湧いてきます。
政策立案の中心で日本のインフラを支える存在
現場経験と研究の両輪で歩んできた伊藤さんは、国土交通省の道路局や国土技術政策総合研究所など、日本の政策や技術開発の中枢で活躍されてきました。2019年からは国土技術政策総合研究所の所長として、全国規模でのインフラ政策や防災対策、技術イノベーションに携わります。
所長時代には、「老朽化したインフラを長持ちさせるにはどうしたらいいか」「新しい技術をどう現場に取り入れるか」「災害に強い社会を作るために今必要なことは何か」など、まさに令和時代の課題に取り組むリーダーとして手腕を発揮されました。道路や橋梁のデジタル化によるモニタリング技術の実装など、現代的なテーマにも積極的だった点が印象的です。
「高度な技術や研究はうちなる知識として終わってしまいがちですが、それを現場にどう落とし込むか」「形だけでなく、実際に人の役に立つ形で政策を回すにはどうすれば良いか」という視点で仕事をされてきた伊藤さん。その姿勢が多くの現場の信頼を集めていたと感じます。
土木研究センターでの取り組み――技術者たちと、社会をつなぐ架け橋
現在、伊藤さんは「一般財団法人土木研究センター」の理事長等を務められています。「土木研究センター」は難しく聞こえますが、要は「新しい土木技術を生み、社会に広げるお仕事」を担う組織です。
道路や橋の性能評価、新素材や新工法の審査、独自の技術マニュアルの作成、さらに公共事業への新技術導入など、幅広い業務を展開。国内外問わず積極的な情報発信や国際協力にも携わっています。
伊藤さんは、ここでも組織を横断的にまとめながら、現場の声に寄り添いつつ技術普及や人材育成にも力を入れています。例えば、月刊誌『土木技術資料』の発行を主導し、最前線で活躍する技術者へわかりやすい情報を提供したり、国内の施工現場と最新の研究結果を繋げたりと、バランサーとしての役割も果たしてきました。
また、公共工事の現場に革新的な技術・素材を導入しやすいよう、技術の審査や証明制度なども整備。例えば新しい舗装材を使いたい施工会社が、どのような特性や効果が期待できるのか、安全に利用できるのかといった疑問に応える仕組みづくりも進めています。
「地味に聞こえるかもしれませんが、こうした地道な仕事のおかげで、私たち一般の生活者も知らぬ間に“使いやすい道”“安全な橋”といった恩恵を受けているのだと感じます。」
学び続け支え合う――研究活動・人材育成へのまなざし
伊藤正秀さんは、「現場を知り、政策に生かす」「新しい研究を社会で活かす」だけにとどまらず、後進教育や技術普及にも熱心です。
日本道路協会主催の日本道路会議では、舗装や道路の安全に関する論文発表を重ね、優秀論文賞も獲得されているとのこと。『舗装技術の質疑応答』という専門書の監修を担当し、土木技術の現場での導入や、後進の学びに役立つ体系化にも貢献してこられました。
また「国際協力」「技術交流」という視点でも活躍。海外との情報共有や研究ネットワークにも積極的で、グローバルな土木技術の発展にも携わっています。日本の優れた工法や研究を世界に発信すると同時に、逆に世界の先進事例も国内に紹介。最新の技術を社会に取り入れる窓口となっています。
土木技術者のリアル――どんな人柄?
ここまで経歴だけみると「なんだか遠い世界の偉い人」と思われるかもしれませんが、伊藤さんは実際に現場経験が豊富で、分かりやすく実用的な技術を追求する姿勢が印象的です。
土木という分野は、ときに地味で、当たり前の日常を守ることが一番の仕事になる世界です。そんな中でも伊藤さんのように「どうすれば現場が楽になるか」「どうしたらもっと長持ちするか」と地に足のついた発想で、仲間や後輩にアドバイスをし続けているようです。
個人的には、これからのSDGs時代、どの分野にも「地道に支える」「知識を役に立てる」人材が必要だと痛感しており、伊藤さんのような姿勢こそが、安心・安全な社会の本当の支えだと強く感じます。
読者のみなさまへ――日常の“当たり前”はこうして生まれる
私たちが何気なく歩く歩道、通勤や通学に使う道路、台風時に頼りになる堤防や橋──これらはいずれも、長年の経験と研究を積み重ねてきた技術者たちの努力のおかげです。伊藤正秀さんは、そうした土木技術の現場から国の政策の中枢、民間や国際協力の現場までをつなぐ存在として、悩みや課題の一つひとつに取り組んでこられています。
これからも日本社会では「老朽化」「災害」「持続可能性」など多くの課題が山積みですが、伊藤さんのような「現場の経験」と「最新の知識」、そして「社会への還元」を両立できる技術者やリーダーが、新しい未来をひらいてくれるものと期待しています。
「インフラの“困った”が話題になったとき、あの道路やこの橋の向こうに、こんな仕事に携わった人たちがいるんだ」と思いを馳せてみるのもまた、新しい社会への関心に繋がるかもしれません。
※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

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