相川善郎は誰だ?組織を磨き、未来志向で挑み続ける現場実践型リーダー~私の経営者名鑑が徹底紹介

※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

建設業界の変化についていけずに悩むあなたへ――現場の声を大切にする「大成建設」社長の姿勢に注目

人口減少、高齢化、資材価格の変動…。日本の大手建設業を取り巻く環境は年々厳しくなっています。「昔ながらのやり方では限界があるのでは?」と危機感を抱く方も多いはず。そんな中、「どうやって変化する業界を乗り切るのか?」「実際に現場や社会の課題をどう捉えている経営者がいるのか?」といった素朴な疑問に、ヒントになる人物がいます。それが大成建設・代表取締役社長の相川善郎(あいかわ よしろう)さんです。

今回は、現場と経営を両輪で歩みながら着実に実績を重ね、建設業の伝統を大切にしながらも新たな時代へ会社を導こうとしている相川善郎さんについて、調査で得た具体的なエピソードや私自身が感じたことを交えつつ、ご紹介します。

名門一家に育ち、現場で泥臭くキャリアを積み上げてきた「技術者出身の経営者」

まず、相川さんの生い立ちをさかのぼってみましょう。1957年、長崎県長崎市のお生まれ。実はご家族も日本の製造・自動車業界で有名な方で、父は三菱重工業の社長兼会長を、兄も三菱自動車工業の社長を歴任されています。こう聞くと「エリート一家で育ったのかな?」と思いますが、相川さん自身は東京大学工学部で建築を学び、1980年に大成建設へ。まさにゼロから現場を知り尽くした、技術者出身の実直な社長です。

入社後は建築の最前線で汗を流し、さまざまな現場を経験しながら「現場で起きていること」「お客様が求めていること」を徹底的に学び取ったそうです。その後、東京支店建築部長や九州支店長、執行役員などを歴任し、40年かけて着実にキャリアアップしてきました。人によっては華やかな経歴に見えるかもしれませんが、「目立たずコツコツ」を地で行く努力型。私も、彼のそんな姿勢に好感を覚えました。

「持続可能な会社」を模索する現場主義と、じわり伝わる人間らしさ

建設業界には、「現場の声が届きづらい」と感じている人も多いのではないでしょうか。その点、相川さんは「現場からの発信」に耳を傾ける姿勢が徹底しています。「技術あっての大成建設」というモットーを掲げ、現場技術に本当に誇りと関心を持って仕事をしてきた様子が伝わってきます。

経営者としては「ゼロ・カーボン・ビルの実現」や、省エネルギー・環境配慮型の建物開発にも注力。単なる効率や利益だけでなく、「建物を使う人の生活、その人たちの思い出や記憶、そして地域コミュニティ」……つまり人間にとっての建物の価値も大切に考えているのが印象的です。たとえば「食事」や「家族の時間」といった、毎日の営みそのものが安全性や快適性に根ざしている。その発想が、すごく人間味があって私は好きです。

成長へのキーワードは「M&A」と「事業の多角化」——現代的な挑戦をリード

近年の相川さんは「M&A」(企業の合併・買収)による成長戦略を積極的に推進しています。大成建設単独で1兆円を超える売上規模を誇りますが、「より幅広い分野で競争力を高めるには、外部の力を取り込むしかない」と考え、2023年にはピーエス・コンストラクションや佐藤秀の買収、2025年には東洋建設の買収も指揮しました。

たとえば、橋梁建設に強いピーエス・コンストラクションや、社寺建築や高級住宅に実績のある佐藤秀など、分野ごとに特色ある企業をグループに迎え、それぞれの強みを生かして全体の底上げをねらっています。これによって建築だけでなく土木や住宅、設備など、あらゆる分野を一体化した「総合力」を育みつつあるそうです。

M&Aというと、派手な企業買収としてニュースに取り上げられることが多いですが、相川さんの場合は「いかにして技術者を育てるか」「どうやってシナジー(相乗効果)を生み出すか」と地に足のついた発想が根底にあります。その姿勢から私は「ただ大きくするだけが目的ではない」と感じました。

「TAISEI VISION 2030」:建設業という枠組みに囚われない未来構想

相川さんがかかげている長期ビジョン、「TAISEI VISION 2030」も注目ポイントです。単なる建物の受注から一歩踏み出し、工場や物流、医薬品、半導体といった生産施設づくりまで幅広く、基本の企画から運用やリニューアル、最終的な解体まで一連の「トータルな解決」を提案しています。

これによって、発注元のお客様は何種類もの業者を探さなくても、大成建設グループだけで一通り任せられるというわけです。「モノをつくる建設会社」から「価値を生み出し続ける会社」への変身を志向している姿に、「時代の変化を素直に受けとめ、きちんと対策していく人」という柔軟さを感じます。

「人」が資産、そして文化を守り抜く姿勢

会社の根本は「人」だと考えているのも相川さんの特徴です。専門性の高い技術職員やエンジニアの育成には特に心を砕いているそうで、「一人前の人材を育てるには長い時間がかかる。そのためには自社での教育と並行して、M&Aなどで外部人材の知識や文化も積極的に取り入れる必要がある」と語っています。現代の人手不足時代に、ありふれたようでいてなかなか実践できない考え方だと思いました。

さらに、創業時の精神や多様な教養——いわばリベラルアーツ的な教え——を尊重し、会議や現場での発言など、社内の全員が意見を出し合える雰囲気づくりにも努めています。大きな会社になっても、初期のチャレンジ精神や「縦割りにせず、風通しよくしよう」という社風には、経営者としての誠実さ・堅実さを感じます。

環境へのやさしさと社会への責任感——実直な取り組みが光る

最近は環境問題への目配りもビジネスリーダーの条件です。相川さんも「ゼロカーボンビル」の開発に注力していて、エネルギー消費を抑えたり、再生可能エネルギーを積極的に使った建物づくりなどを推進しています。「ただ利益を上げるのではなく、社会から求められる企業であることが大事」と発言する理由が、こうした姿勢からも伝わってきます。

個人的には、時代の流れや社会の動向を読みつつも、地道な議論や実践を積み重ねている相川さんのやり方に「今どきまれに見るバランス感覚」を感じています。流行や表面的な話題に振り回されない、「地味だけど本質を外さない」まじめさが、この方の魅力だと思います。

「東洋建設」TOB成立に象徴される、実効力のある経営手腕

2025年、相川さんのもとで大成建設は東洋建設の株式公開買付け(TOB)を行い、無事グループ会社化に成功しました。買収コメントの中で、「迅速かつ着実にシナジー施策を実行する」というやや控えめながら誠実な語り口が印象的です。ここでも、買収ありきの拡大路線ではなく、「どう現場で融合させて、会社全体の価値をじわじわ高めていくのか」が重視されており、大手企業のトップでありながら、きめ細やかな配慮を怠らない姿勢に共感を覚えました。

統合後は土木などの大規模プロジェクトを着実に推進し、お互いの技術やノウハウを有効に活用。社内の体制整備や技術的なすりあわせなど「結果を急がず、でも確実に成果を出す」のが、手堅い仕事ぶりとして評価されているようです。

海外進出にも現地重視の慎重なアプローチ

海外でも勢いまかせではなく、その土地や事業の性格を見きわめて判断している点も、相川さんらしい工夫です。特に東南アジア市場では、現地法人を使った事業拡大や、文化・商習慣の違いにもしっかり配慮したM&Aが検討されています。「見栄や無理な拡大ありきではなく、その土地に根づいたやり方を大切にしたい」というコメントからも、実務肌の慎重かつ思慮深いリーダーシップが伝わってきます。

経営者として、これからの挑戦と期待されること

相川さんは「M&Aの進捗はまだ道半ば」と語っており、今後も多様な人材・技術の融合や、グループ内シナジーの深化を推進することが目標です。また、成長分野として洋上風力発電など新しい事業分野にも目を向けています。再生可能エネルギーやスマートインフラといった時代の追い風もあり、次なる成長への布石を着実に打ちつつある様子です。

私自身、「見せかけの改革ではなく、本当に役立つ企業・社会貢献を、現場目線できちんと形にしている」と感じます。建設業に関するニュースは派手に報じられることが少ないですが、現実には現場で汗を流し、コツコツと改善し続けている方がいるのだな、と勇気をもらいました。

まとめ——「組織づくり」と「社会へのまなざし」が同居する、地に足のついた現場型経営者

相川善郎さんは、エリート的な家柄を持ちつつも、「先頭に立って泥臭くチームを引っ張る」タイプの経営者だと私は感じています。現場経験を重ね、技術や営業、そして経営すべてを肌身で学び、今や大成建設の屋台骨を担う「現場実践型リーダー」です。

おごらず着実に、「人」にこだわり、現実主義と理想主義のバランスをとりながら、事業の多角化と海外展開、そして環境問題への取り組みまで、幅広い視点で組織の進化を支えています。彼の進める経営改革は、これまでの建設業界の伝統を守りつつ、一歩先を見すえて動いている印象です。

「企業は、社会や現場の人々とともに作り上げていくもの」というメッセージが背中越しにじわじわ伝わってくる――そんな、現場にも社員にも寄り添う温かみのある経営者像が、私の中に強く残りました。これからも、大成建設を中心に、建設業界に新しい価値や活気を広げていってくれるのではと大いに期待しています。

※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

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