齋藤仁は誰だ?地形と社会を結ぶ“現場派”研究者~私の経営者名鑑が徹底紹介

※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

「災害ニュースを見て不安になる」「専門家の解説が難しすぎて分からない」――現代社会に生きていると、地震や大雨、土砂災害といったニュースに触れることが増えています。しかし、なぜそんな現象が起きるのか、どうすればリスクを減らせるのか、身近な言葉でしっかりと説明してくれる存在はなかなかいません。もし“現場に強い”研究者が、地形の特性や防災対策を、私たちにもわかりやすく伝えてくれたなら──。今回はそんな期待に応えてくれる、地理学・地形学のエキスパート、齋藤仁(さいとう・ひとし)さんについて紹介します。

地理学・地形学に情熱を注ぐ 研究現場主義の准教授

齋藤仁さんは、名古屋大学大学院環境学研究科の准教授として日々教育・研究に取り組む、自然地理学の専門家です。さらに、東京大学空間情報科学研究センターの客員准教授をはじめ、複数の研究機関でも教鞭を執っています。齋藤さんの中心テーマは、土砂災害や気候変動による地形変動の仕組みの解明。その手法はパソコン上だけでは終わりません。研究室でのデータ解析と現場での観察・計測を、まさしく両輪で進めている“現場派”学者なのです。

彼の歩みの原点は東京都立大学理学部地理学科(現・首都大学東京)にあり、同大学院で博士号(理学)を2011年に取得。その後は日本学術振興会特別研究員として東京大学やドイツ・ポツダム大学など国内外の研究現場で活躍を続けました。2013年から関東学院大学で教員生活をスタートし、2022年4月からは名古屋大学に着任。東京大学でも客員准教授として活動を続け、学術界のハブ的な存在となっています。

私が感じた“齋藤仁”という人物像——丁寧な実地目線と幅広い発信力

私が齋藤さんを知ったきっかけは、土砂災害や大雨による被害がニュースで大きく取り上げられていたある年、彼の解説を耳にしたことでした。印象に残ったのは、“難しい言葉を避けて、身近な例や簡単な図表を交えながら説明する”語り口です。例えば「豪雨のあと、山が崩れる原因は何ですか?」との質問に、地層の成り立ちや植生の違い、大雨による水のしみ込みや土壌の役割までを、専門知識がなくても理解できるように落とし込んでくれました。

齋藤さんは「現場百遍」という言葉どおり、島や山地、極寒のシベリアなど世界各地の現場にも足を運び続けてきました。たとえば沖縄の石垣島や西表島では、赤土流出とサンゴの衰退を結び付けて、どれだけの雨が、どんな条件で斜面を崩し、海まで土が流れるかを丹念に調べ、その成果は学術論文だけでなく、現場の防災指導や行政による砂防対策にも生かされています。

地形・環境・人を結ぶ――分かりやすさと実践力の両立

齋藤仁さんの研究は、決して“机の上だけの話”ではありません。近年の主要なテーマは「土砂災害と気候変動」「衛星写真・ドローン(UAV)による現地観察」「地形と植生の変化」「自然災害から暮らしを守る知恵」の4つです。これらの活動は、身近な地域のリスク評価から自治体の防災マップ作成、さらには国際的な自然保護政策の資料にまで生きています。

特に近年は、新しい技術の活用にも積極的です。たとえばドローンで山や斜面の画像を撮影し、それをパソコンで立体的な地形モデルに再現することで、どこが崩れやすいか、どこに注意を払うべきか、瞬時に把握できるようになりました。これにより台風や豪雨のたびに被害が拡大する現代の防災現場で、斎藤さんのノウハウが実務に直結しています。

感心するのは、実際に現地で泥や雨にまみれながらデータを取り、帰ってきては学生たちと一緒にパソコンでデータ分析に取り組む、その二刀流の姿勢です。齋藤さんは学生への指導にも熱心で、複数の大学で後進を育成し、若手研究者の国際交流や学会発表の機会づくりにも尽力しています。

論文も、ワークショップも、一般向け講演も――幅広い成果発信

齋藤仁さんの実績は、学術論文だけではありません。雑誌論文は国内外で多数を数えますが、それ以上に私が魅力を感じるのは、研究成果を社会へ広く発信し続けている点です。全国の自治体防災担当者や教育現場向けの講演、学術イベントでのワークショップ、一般向けの解説セミナー出演など、多くの場で「防災と地形の知識を社会の共有財産にする」努力を惜しみません。

一例を挙げれば、熊本の阿蘇地方では春の野焼きと気象条件の関係から地域の斜面崩壊リスクを解説し、現地の防災計画策定まで助言。シベリア地域では「永久凍土」の地形変化と日本への影響を、国内外の研究者と協働で追い続けています。こうしたプロジェクト型研究を通じて、齋藤さんは国内外の防災科学と地理学のネットワークづくりにも一役買っています。

受賞歴・学会活動――着実な歩みから信頼される存在へ

数々の受賞歴も目を引きます。「Most Cited Paper Award」(日本地球惑星科学連合、2020年)や、地理情報システム学会賞など、研究テーマの独自性や成果の確かさが認められています。学会では日本地球惑星科学連合プログラム委員長や、日本地形学連合など各学会の委員・運営にも熱心。専門的な場面でも信頼される存在として活動を拡げています。

個人的に、「実は防災や災害のニュースを見ても、裏でどんな学問が支えているのか漠然としか分からなかった」というのが正直な気持ち。その点、齋藤仁さんは、現実の困りごと=現場の災害や課題と、研究の眼差し=地形や気候、自然の“しくみ”を結びつける“橋渡し役”のような人物だと感じます。

こんな人にぜひ知ってほしい!——地形や環境に興味がある人、防災を考えたい人に

齋藤仁さんの研究や活動は、直接「土砂災害の現場に関わる」人だけでなく、身近な地域の安全や環境保全に興味があるすべての人に役立つヒントが詰まっていると感じます。地理や地形に苦手意識がある方でも、彼の語りや説明を知れば「なるほど、自分の住んでいる場所にも意味があったんだ」と気付けるはずです。私は、防災の日などの行事とセットで、家族みんなで齋藤さんの講演動画や記事などを一度見てみることをおすすめしたいと思います。

「研究者」と「現場人」両方の顔で地域社会を支え続ける

齋藤仁さんは、大学で最先端の研究を進めると同時に、現場主義を貫き、自然や災害現象の“生きた情報”を社会に発信し続けている実直な研究者です。ネット上や本の中だけでなく、泥まみれになる斜面調査も、パソコンと向き合うデータ分析も、全て「人の暮らし=社会の安心安全」のためにつなげている姿勢に、私は深い敬意を感じます。

もしも大雨や地震のニュースの中で「なぜ?」と感じたとき、その現象の裏にどんな地形や自然の仕組みがあるのか知りたくなったら、ぜひ齋藤仁さんの解説に触れてみてください。きっと“今ここの暮らし”と“遠い自然の循環”をつなぐ、多くの気づきが得られることでしょう。

今後も、名古屋大学を拠点として、全国、その先の国際的な現場へと、社会に役立つ研究を進め続けてほしいと願っています。

※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

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