清野英俊は誰だ?ビジネスと使命感で防災通信を拓くリーダー~私の経営者名鑑が徹底紹介

※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

災害大国・日本で「安心できる災害情報」をどうしたら多くの人に、どんな状況でも確実に届けられるのか。そんな多くの人が抱える”もしもの時”の不安。「行政の防災無線って本当に役立つのかな?」「突然の災害でも大切な人の命は守れるのだろうか?」
こうした疑問に向き合い、実直に一歩ずつ答えを紡いできたのが、今回ご紹介する清野英俊(せいの ひでとし)さんです。
ポケットベルの電波技術を活かして、地域の安全を支える防災無線を日本各地に広めてきた、東京テレメッセージ株式会社の代表。
「地味だけど、本当に役立つことを、ひたむきに続けている人」――そんな清野さんの仕事や魅力について、私自身の率直な感想を交え、やさしく紐解きます。

数々の困難を乗り越えた、信頼されるビジネスパーソンとしての歩み

清野英俊さんは1954年、福島県福島市で生まれました。東北大学経済学部を卒業後、三井信託銀行(現在の三井住友信託銀行)へ入行。プロの銀行員として23年のキャリアを積み上げ、その後は外資系投資ファンドで企業の財務や経営分析、運用の最前線でも力を発揮してきました。
一般的に「エリートビジネスマン」という印象を受けますが、特筆すべきはその後のキャリアの転換。清野さんは、ヘッジファンド勤務からまったく違う電波通信の分野へと身を投じ、2012年に東京テレメッセージ株式会社の代表取締役社長に就任します。
きっかけは、投資ファンドの立場として同社(当時のYOZAN)に融資し経営再建の現場に関わったこと。最初は投資家として冷静な分析役でしたが、「経営本体が本当に潰れそうだ」と直面する中で、銀行、ファンドで磨いた交渉力や分析力を自らの手で現場経営に注ぐことを決意したのです。
この柔軟な発想力と行動力が、非常に現代的でしなやかなリーダー像につながっていると感じます。

ポケベルの技術を守り、再生の道筋を示す。地味だけど「なくては困る」通信インフラ

かつて中高生の間で大流行し、懐かしい思い出になっていた「ポケットベル」。その通信に使われていたのが「280MHz帯」の特殊な電波です。
清野さんが継承したのは、実はこのポケットベル技術でした。携帯電話普及により、各社が次々とポケベル事業から撤退するなか、YOZAN(現・東京テレメッセージ)はポケベル周波数の無線免許を最後まで維持。
しかし、ビジネス的には経営難と債務超過、税金の未納、給与遅配…「本当にもうダメだ」と皆が目を背け始めた時に、「この電波の使い道が、日本の誰かのためにあるのでは?」と思い至ったのが清野さんでした。
彼がもう一度向き合ったのは、震災時にも最後まで情報を届けられる「防災無線」として電波を活かすこと。
例えば、この280MHz帯は、山の向こうやビルの奥までしっかり届き、災害時に停電した時も情報が繋がりやすい特性があります。清野さんは、この周波数を使った「デジタル同報無線」や「防災ラジオ」といった新たな情報伝達システムを提案し、自治体への導入提案に奔走しました。

東日本大震災の経験から生まれた、使命感と行動の数々

2011年、東日本大震災が発生。清野さんの故郷・福島でも通信インフラの脆弱さから、多くの方々が「避難すべき正しい情報」を受け取ることができず、被害が拡大しました。
この経験が清野さんの中に、「安定して情報が届く通報網こそ、社会に不可欠なインフラなのだ」という確信を生み、彼自身の使命感に直結しています。
代表就任後は、引き継いだ会社の苦しい経営状態と正面から向き合い、財務の健全化や未払い給与の解消、複数の訴訟対応に自ら先頭であたったと言います。「社長自ら、全てを説明し、社員も取引先も役所も納得させきる。嘘は絶対につかない。」
このような真摯な信念をもって、迷いなく実務を遂行したそうです。

社員を「社長視点」に育てる現場主義。日々積み上げられている信頼

清野英俊さんの経営哲学は「社員1人ひとりが、もし自分が社長だったらどう判断するか?」という“社長意識”を持つことです。
そのために、「なぜこの仕事をするのか?」「何のためにこの行動なのか?」を常に社内で問い続け、目的意識を明確にした上でコミュニケーションを重視しているのだそうです。
例えば、ただ「これをやっておいて」と指示するだけでなく、その行動の“理由(WHY)”を共有し、社員が自ら最善の選択ができる自律した組織づくりを大切にしています。
また、清野さんは「嘘をつかない」「最も困っている人に向き合う」の二つを最重要ルールとし、実際のトラブルや苦しい場面でも「誰が最も困っているのか」という視点で優先順位をつけて対応するといいます。
この考え方は、現場の積み重ねによる信頼形成に繋がっているようです。
自分自身がビジネスの世界で「どうしてこれをやってるんだろう?」と悩む時、この考え方はとても参考になると感じました。

ポケベル電波は現代の防災インフラになれる「静かだけど要の通信」を地域に届ける取り組み

東京テレメッセージが自治体等に導入している「280MHz帯の防災無線システム」は、ポケベルで培った電波技術を活かした仕組みです。
このシステムは、例えば市や町が災害情報や避難指示などを住民へ文字で伝え、それを各家庭や施設に設置した端末が自動で音声に変換して教えてくれるというものです。音声だけの無線放送では聞こえない家庭や騒音の多い場所でも、大切な情報をしっかり届ける仕掛けになっています。
実際、長崎県佐世保市、茨城県常総市、大分県宇佐市など、さまざまな地形・規模の自治体で採用実績があり、導入自治体は30以上に拡大。出荷された専用端末は17万台を超えたそうです(2025年春時点)。
自分の身近な街や地域にもこんな“地味だけど頼りになる”通信が広まっているんだ、と知ると少し安心できますし、普段は目立たない分野での地道な努力の大切さを改めて認識しました。

プロフェッショナル論と「運命の仕事」との向き合い方

清野さんはプロフェッショナルとは「自分の与えられた役割を全うし、組織や社会のミッションに真摯に向き合う人」だと語っています。
仕事の結果や立場にとらわれることなく、「自分の役割を一つ一つ真剣に果たす」という姿勢が、現代社会でも通用する普遍的な心得であると私は感じました。
実際に清野さんは、会社の経営や訴訟、地元自治体への防災無線の提案、技術開発の推進など、多方面にわたり自ら前に出て動き続けています。「このミッションが完成したら、もう悔いはない」とまで公言し、使命を全うし続けているその姿勢には感銘を受けます。

地域・行政・住民をつなぐ土台――地道な「つながり」発信者として

清野英俊さんは、行政・地域・住民・民間企業、それぞれの立場を尊重しながら「本当に頼りになる防災情報のネットワーク化」を目指してさまざまな現場に出て講演や情報発信も行っています。
たとえば、「帰宅困難者対策」「自治体防災ラジオの導入事例」「情報伝達の課題」などのテーマで専門誌やセミナーでも発信を続けている点も印象的です。
さらに「現場(消防士や消防団員)」へのリスペクトも強く、東日本大震災や9.11の教訓にも真剣に向き合い、人命・生活を支えるインフラの重要性を言葉だけでなく実行で示す人物です。
地域リーダーや若手官僚、現場職員への感謝の言葉を何度も伝えており、「自治体や消防・現場との本当のパートナーシップが大事だ」という清野さんの現場志向にも共感できました。

私が清野英俊さんから感じる「すごさ」

清野さんの取り組みで、特に強く心に残ったのは「誰にも注目されないような古いインフラ(=ポケベル電波)を、手放すことなく守り抜き、日本の防災インフラに役立てた」粘り強さと意思の力です。
大きな新技術で世の中にインパクトを与えるのではなく、“必要なものを、必要な人に、確実に届ける”という地道な仕事に徹した仕事ぶり。その姿勢はビジネスパーソンとしてだけでなく、一人の社会人として学ぶところが多いです。
また、チームで働く人たちに自律性や本音を重んじる文化を築いている点にも、今後の会社や組織の在り方として注目したいと思いました。

地味な一歩の重なりが、地域に「備え」と「安心」を残す

防災は目立たない努力の積み重ね――清野英俊さんの人生を知ると、そんな言葉が思い浮かびます。
名声でも、利益至上でもなく、「どれだけ誠実に行動できるか」「どんな退路でも絶対に諦めないか」。普段は意識しづらい「もしもの時の情報伝達」が、今日も誰かのために磨き続けられているのは、こうしたリーダーの積み重なる努力に支えられているのだと感じます。
これからも防災分野で新しい時代の安心と安全を一つひとつ築いてくれることに期待しています。

※この記事は「私の経営者名鑑」の編集部へ寄せられた紹介記事

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